とある双極性Ⅱ型の旅路

双極性Ⅱ型と共に働く日々

メンタル休職時に作った家族に守って欲しいことリスト

うつ病と診断されて休職することになった後、しばらく一人暮らしを続けていて、家族には休職のことを言っていませんでした。

その後、家族に打ち明けて実家に戻ることになりますが、その時に「休職中に守って欲しいことリスト」を作って家族に渡しました。

私が実家で休職期間を過ごすにあたり、必要なことだったと今も思いますし、家族との関係を改善するきっかけにもなりました。

メンタル疾患と診断され、休職などで家族や身近な人に自分の今の状況やお願い事項を伝えたいという時に、誰かの参考になるかもしれないと思ったので、まとめておきます。

実家に戻りたくなかった理由

うつ病と診断された後、医者からは「実家に戻ってはどうですか」と勧められましたが、私は戻るつもりはありませんでした。

それは、実家に戻った方がストレスが高くなると思ったからです。その理由は、

  • 家族がうつ病やメンタル傷病を理解できず、ただの長期休暇と同じ扱いをされる可能性が高い
  • 眠れなかったり食事ができなかったり家事の手伝いができないことを、わがままや怠けていると思われる可能性が高い
  • 色々と口出しされることへの耐性が低下しているが、それを控えてもらえそうにない
  • 光や音が苦手になっているが、昼間にカーテンを閉めたりテレビを消したりすることに付き合ってもらえると思えない

などなど、色々あります。

私のことを「ちょっと仕事に疲れて会社を休んで実家でごろごろしている娘」として扱う家族だったら、家事をしてもらえるとしても、近くにいて欲しくないと思っていました。

実家に戻ることになってリストを作る

その後、経緯は忘れましたが、母親にうつ病で休職することを伝え、しばらくして実家に戻ることになりました。その時に作ったのが、「休職中に守って欲しいことリスト」です。

数日かけて作り上げ、実家に戻ったその日に印刷した紙を家族に渡して、「これを守ってくれないなら無理でも何でも私は一人暮らしに戻る」と宣言して、家族の前で読み上げました。(ものすごく勇気がいりました)

私がぼろぼろ泣きながら必死に説明する様子に、家族は初めて私の状態について「ただ事ではない」と気づき始めたように思います。

そのリストを貼り付けておきます。長いので斜め読みしてください。

私が作った「休職中に守って欲しいことリスト」

【体調面】

  • 基本的に体も脳も疲れている状態なので、家事などの仕事はさせないでほしい(元気な時にやりたくなったら手伝う)
  • 反応が鈍かったりなかったりすることがあると思うが、気にせずに気長に接してほしい
  • 反応がない場合は、疲れていて反応する元気がないか、その話題がしんどいかなので、しばらく放っておいてほしい
    • できるだけ、今疲れてるとかその話はしばらくしないで欲しいとか要望は言うが、しんどい時は反応できない
  • しんどい時は騒がしいのと眩しいのが負担なので、寝ているときは配慮してもらえると助かる
  • 急にイライラしたり泣き出したりということがしばらくあると思うが、落ち着いた対応をしてほしい
  • しばらくは気を使わないつもりなので、態度が悪かったり思いやりがない言動をするかもしれないが、回復してきたら元に戻すので、それまではあまり気にせずにいてほしい

【生活面】

  • 食事や風呂は声を掛けてほしいが、反応がなかったりいらないと返事した場合は放っておいてほしい
    • 薬を飲んだかどうかは飲み忘れてそうだったら聞いてほしい
  • できるだけ規則正しい生活をしたいが、夜寝つけない場合もあるので、声を掛けても寝に行かない場合や、朝起きてこなくても放っておいてほしい

【対応】

  • 腫れ物を触るように接しては欲しくはないが、ソフトな(やさしめの)対応をしてほしい
  • 元気でよく動いてよくしゃべる時とそうでない時の落差が大きいのと、急に切り替わる(スイッチが切れる)ことも多いので、その時々で反応を見て対応してほしい
  • 生活面の要望には無理のない範囲で対応してほしいが、それ以外のワガママについては全部に対応しないようにうまく判断してほしい(特にお金がかかることは後で気にしてしまって逆に負担になる)

 

大作ですね。

でも、当時はこれだけのものを作らないと実家に戻る覚悟が持てませんでした。リストに書いた項目の数だけ、家族に対して不安を抱えていたということでもあります。

メンタルがボロボロで、家族だからこその気安さであれこれ言われたりさせられたりすれば、ギリギリで保っている自分が破裂してしまいそうな、そんな切羽詰まった気持ちでいました。

メンタル疾患に詳しくない両親に伝わるように、難しい言葉は使わずに、自分の状態や取って欲しい対応などを具体的に書くように気をつけていました。

また、単なるわがままを言っているように思われないように、文章を何度も何度も書き換えたのを覚えています。

実家に戻って最初の頃

もちろん、これだけ多くの要望を出されても家族は覚えられないですし、すぐに対応なんてできません。

私はしばらくの間このリストを印刷した紙をずっと持っていて、家族がルール違反をした時に、それを伝えようとして泣き出してしまって口で説明できなくなると、紙を突き出して読んでもらっていました。

私が、昼間でもずっと寝ていて、毛布を被って顔も出さず、ろくに会話もせず、食事もほとんどしない様子を目の当たりにして、そして何か話しかけると頻繁に泣き出しては紙を突き出してくる様子に、家族は少しずつ「単に休んでいる」のではなく、「病気」なのだと認識を変えてくれるようになりました。

何度か、ルールを巡って喧嘩もしましたが、少しずつお互いに歩み寄って折り合いを付けていきました。

そのお陰で、休職期間中、家族との関係で大きな亀裂を作ることなく、実家で過ごすことができたと思います。(精神面が不安定だったので、気持ちの上では、しょっちゅう家族のことが嫌になって一人暮らしに戻ろうと思っていましたが)

復職した現在

休職していた2年間で、家族は私に対する態度を大きく変えました。

復職して(一人暮らしに戻って)10年以上経つ今も、休職前からすると考えられないくらい、私の意思を尊重しようとしてくれています。

いい意味で気を使いあえる大人の関係になったとも言えますし、病人扱いが続いているということかもしれません。(実際、今も双極性Ⅱ型での通院治療は続いていますが)

私の方も、それまで親には「いいお姉ちゃん」「自慢の娘」としての私しか必要とされていないと思っていましたが、そうではない私でも大丈夫なんだと、少しは思えるようになりました。(まだ「少し」ですが…)

まとめ

メンタル疾患を抱えているときに、家族や身近な人に要望を伝えるのは、なかなかにハードルが高いものではないかと思います。

私は、自分が感情的になってしまうだろうこと、恐らく泣き出してしまうだろうこと、家族にしばらくは理解されないだろうこと、長期戦になるだろうことを想定して、あらかじめリストを準備しました。

結果的に、時間をかけて言いたいことを伝えるために、リストは(そして印刷した紙は)とても役に立ちました。後で読み返すことができるというのもいい点でした。

やり方は色々あると思うのですが、私の経験や上記のリストが、一部分でも誰かの参考になれば嬉しいです。